商売のいろはの「い」 第1回 「売り上げの因数分解」

商売のいろはの「い」 第1回 「売り上げの因数分解」はい、商売のいろは、本格的なスタートです。

前回
は理念的な話だったのに、いきなり売り上げの細々した話に入りますので、最初にひとつだけ。

僕は「売り上げ」「粗利」「利益」の中では「売り上げ」が一番好きです。好きってどういうことだ?と思われる方もいるでしょう。一番大事なのはと言われれば、やはり「利益」。これが無くては商売をする主体(会社など)が成り立ちませんから。でも「売り上げ」はお客様の喜びに直結しています。騙すような商売でない限り、「売り上げ」に関わる行為(物を買ったりサービスを受けたり)に伴い、お客様が喜びを手にしています。例えばどうしても欲しい本があるとします。その本が本屋に無かったら、がっかりしますよね。売り上げも0円です。そこでその本屋さんが、取り寄せをしてくれたとします。すごく嬉しいですね。そして売り上げが上がります。つまり、売り上げという指標が「お客様満足」に直結していると僕は思います。

では、本題。「売り上げの因数分解」って、なんだろう?

いろんな教科書が教えてくれます。

売り上げ=客数×客単価

だと。

これが売り上げの因数分解。売り上げが上がった下がったと言うときに、客数と客単価という指標に分解して考えると、どちらが原因なのかよく分かって、対策も打てると教科書には書いています。

では、簡単な例。八百屋さんで良子さんは800円の買い物を、美紀さんは1200円の買い物をしたとします。この日は二人だけのお客様(それは寂しいな…)と仮定します。客数は?もちろん2名ですね。では客単価は…?暗算の得意な方なら1000円と一発で答えるかもしれません。でもその1000円ってどこからきたの?

お分かりだと思いますが、先に800円+1200円の2000円が「売り上げ」であると頭の中で計算しているわけです。そしてそれを客数の2で割って、客単価を1000円であると算出してるんですね。

これがどういうことか。…実は、さっきの公式は、間違ってはいないけど実際の使い方は違う物なんです。つまり、

客単価=売り上げ÷客数

なんですよ。

「小学生の算数かよ」と思われる方もいるでしょうが、これは重要なことです。「客単価」という数値は、確固とした実態があるわけでは無く、計算によって生み出された「指標」なんです。そこを間違うと、大変な落とし穴に陥ります。

もうひとつ例を挙げましょう。近頃は少なくなりましたが、スーパーの特売品で「お一人様ひとつ限り」なんて打ち出しが、昔は多かったですよね。目ざとい主婦は、夫だけでは無く子供やおじいちゃんおばあちゃんも総動員して特売品をたくさん手に入れようとする…よくある話です。

さて、その日のスーパーの売り上げは、特売品効果で昨日の2倍になりました。そして客数はなんと4倍です。すごい!…ところが、客単価は1/2になってしまいました。この施策は、客単価を下げてしまうのでしょうか。

目ざとい主婦の家族は、ひとつの集団です。本来、一日一回の買い物をするところを、特売品ほしさに本人、夫、おじいちゃん、おばあちゃん、息子、娘の6回買い物をしたとします。スーパーはこの家族を「客数6」とカウントしていることになります。本来1個しか買えない特売品を6つ買っているわけで、家族としての売り上げは上がっているのですが、「客数6」で分割した「客単価」は極端に低くなってしまいました…

この例のように、売り上げの実態を観察しないで、指標としての客数・客単価ばかり見ていると、役に立たないこともあるのです。

それでは、売り上げの因数分解は役に立たないか…そんな事はありません。次回はもう一段階、因数分解してみましょう。

Category(s): おもったこと

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